ここからは第2章に入ります。
第1章では「選ばれる面接」とは何か、その全体像を見てきました。第2章では視点を変え、なぜ多くの中小企業が「一般的な面接のコツ」を実践しているにもかかわらず、辞退が減らないままなのか、その原因を掘り下げていきます。
「コツ」は実践しているのに、結果が変わらない
「面接では笑顔で」「沈黙を怖がらない」「応募者の話をしっかり聞く」-こうした一般的な面接のコツは、多くの経営者や採用担当者がすでに知識として持っています。実際に意識して実践している方も少なくありません。
にもかかわらず、辞退の連絡は途切れない。この「やっているのに変わらない」という状態こそが、多くの中小企業を悩ませている本当の問題です。原因が分からないまま、「たまたま縁がなかった」「他社の条件が良かったのだろう」と結論づけてしまうケースが後を絶ちません。
中には、面接のやり方を疑うのではなく、求人媒体を変えたり、掲載プランを上げたりと、応募数を増やす方向にばかり手を打ってしまう会社も少なくありません。しかし、いくら入口の応募数を増やしても、面接という出口で辞退が続いていては、根本的な解決にはならないのです。
コツを「点」で実践しても、「線」にならない
一般的な面接のコツの多くは、個別の場面ごとの対処法として語られています。「沈黙が続いたらこう切り返す」「圧迫的にならないよう、こう聞く」といった具合に、それぞれは独立した「点」のアドバイスです。
しかし、応募者が面接全体を通じて受け取る印象は、個々の場面の足し算ではなく、面接の始まりから終わりまでの「線」としての体験です。途中の受け答えがどれだけ丁寧でも、面接官の自己紹介がおざなりだったり、締めくくりが事務的だったりすれば、面接全体の印象は損なわれてしまいます。
個別のコツを守っているつもりでも、面接全体としての設計思想が抜け落ちていれば、応募者の心には届きません。
「減点方式」で面接を見てしまっている
もう一つの原因は、多くの面接が「失点を防ぐ」という発想で組み立てられていることです。NGな質問をしない、圧迫的な態度を取らない、法令に触れる質問を避ける -これらはもちろん重要ですが、あくまで「マイナスを出さない」ための対策にすぎません。
マイナスを出さないことと、応募者の心を積極的に動かし「この会社で働きたい」と思わせることは、まったく別の話です。多くの中小企業が「コツ」として学んでいるのは、実は前者の「減点を防ぐコツ」が中心であり、後者の「加点を生み出す働きかけ」については、体系立てて学ぶ機会がほとんどないのが実情です。
テストで例えるなら、ケアレスミスをなくす練習ばかりして、得点を積み増す練習をしていないようなものです。ミスは減っても、合格点には届きません。
原因が見えないまま、対策も打てない
このように、辞退の原因が「個別の受け答えの巧拙」ではなく「面接全体の設計」にあること、そして「失点を防ぐ」発想だけでは足りないことに気づかないまま面接を続けていると、いつまで経っても対策の打ちようがありません。
原因を「運」や「縁」のせいにしている限り、同じ面接のやり方を繰り返すことになり、辞退という結果もまた繰り返されてしまいます。
次に確認すべきこと
次回以降、この第2章では、なぜ質問リストを用意しても良い人材ほど去っていくのか、なぜ「見極めよう」とする面接官ほど選ばれなくなるのかなど、具体的な場面ごとに、辞退が生まれる構造をひとつずつ掘り下げていきます。
次回はまず、質問リストを丁寧に用意して面接に臨んでいるにもかかわらず、なぜ良い人材ほど去っていってしまうのか、その具体的な理由を見ていきます。
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