前回、面接には「見抜く場」と「選ばれる場」という2つの役割があること、そして「選ばれる面接」は「ファン化面接」という考え方を土台にしていることをお伝えしました。
今回は、この2つの面接が、実際の進め方の中でどこがどう違うのかを、具体的に見ていきます。
そもそも「見抜く面接」とは、どういう面接か
「見抜く面接」とは、応募者の経歴・能力・人柄を評価し、自社に合うかどうかを判断することに主眼を置いた面接です。質問を投げかけ、回答を聞き、その内容から適性を見極める。面接官の役割は、いわば「審査員」に近いものになります。
この進め方自体は、決して間違いではありません。
応募者の実力や適性を正しく把握することは、採用のミスマッチを防ぐ上で欠かせない工程です。問題は、面接がこの役割「だけ」で終わってしまうことにあります。
「選ばれる(ファン化)面接」とは、どういう面接か
一方「選ばれる(ファン化)面接」は、見極めに加えて、面接官自身が「発信する側」にも回る面接です。自分の経歴や、この会社で働く理由を語る。会社の理念や募集背景を、自分の言葉で伝える。
応募者の将来のビジョンに関心を向け、共感を言葉にして返す。面接官の役割は、「審査員」から「もう一人の当事者」へと変わります。
この違いを一言で表すなら、「見抜く面接」における面接官は「情報を受け取る人」であり、「選ばれる(ファン化)面接」における面接官は「情報を差し出す人」でもある、ということです。
具体的に、進行のどこが変わるのか
同じ60分の面接でも、時間の使い方には明確な差が出ます。
- アイスブレイクについて、「見抜く面接」では省略されるか、形式的な一言で終わることが多くあります。「選ばれる面接」では、緊張をほぐすための時間として、意図的に数分を確保します。
- 面接官の自己紹介について、「見抜く面接」では名乗るだけで済ませることが一般的です。「選ばれる面接」では、経歴や入社の経緯まで、感情を込めて語ります。
- 会社説明について、「見抜く面接」では求人票の内容をなぞる程度にとどまります。「選ばれる面接」では、社長の考え方や募集の背景まで、具体的に踏み込んで伝えます。
- 質問の内容について、「見抜く面接」では経歴・スキルの確認が中心になります。「選ばれる面接」では、それらに加えて、応募者自身の将来のビジョンにまで踏み込んで聞きます。
- 締めくくり方について、「見抜く面接」では今後の選考の流れを事務的に伝えて終わります。「選ばれる面接」では、面接を通じて感じた期待を、面接官自身の言葉で伝えます。
どちらが「正解」というわけではない
ここで誤解してほしくないのは、「見抜く面接」がすべて悪い、というわけではないということです。応募が殺到し、選考の効率が最優先になる場面では、見極め重視の面接が合理的な場合もあります。
しかし、応募数が限られ、一人ひとりの応募者との出会いが貴重な中小企業にとっては、「見抜く」だけでは機会損失につながりやすい、というのが実情です。
だからこそ、限られた応募者一人ひとりに対して、「選ばれる(ファン化)面接」を意識的に組み込む価値があります。
次に確認すべきこと
次回は、なぜ大手企業以上に中小企業こそ、この「選ばれる面接」への転換が必要なのか、その理由を掘り下げていきます。
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