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1-1. 世の中の「面接テクニック」情報が実は的外れである理由とは

書店に並ぶ採用関連の書籍、ネット上の記事、人材紹介会社が配布する資料「面接テクニック」を検索すれば、情報はいくらでも出てきます。

「良い質問例10選」「絶対に聞くべき逆質問」「NGな聞き方」といったタイトルを、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

こうした情報に触れた経営者や採用担当者は、「よし、これを取り入れよう」と質問リストを作り直し、次の面接に臨みます。しかし、しばらく経っても辞退の連絡が続く。「テクニックを学んだはずなのに、なぜ変わらないのか」と、かえって戸惑うことになります。

これらの情報が間違っているわけではありません。問題は、「誰のために作られた情報か」を確かめずに、そのまま取り入れてしまうことにあります。

目次

そもそも「誰が作った情報」なのか

面接テクニックとして出回っている情報の多くは、大手企業の人事部や、大量採用を前提とした人材業界のノウハウをベースに作られています。年間数百人、数千人規模の応募者の中から効率よく選考し、優秀層を絞り込むための技術です。

応募者が「その他大勢」として存在する前提で組み立てられている、と言い換えてもいいかもしれません。

これ自体は洗練された技術ですが、前提条件が中小企業とは大きく異なります。

「大量の応募者から絞り込む」ための情報と、「一人ひとりの応募者に選んでもらう」ための情報は、そもそも目的が違うのです。中小企業の採用担当者が向き合っているのは、月に数名、あるいは1名の応募者です。

この状況で「見極めのための質問テクニック」だけを磨いても、応募者に「選んでもらう」ための働きかけが抜け落ちたままになります。

「テクニック」という言葉自体への誤解

もう一つの落とし穴は、「テクニック」という言葉のイメージです。

多くの人は「テクニック=話し方や質問の型」だと捉えます。そのため、面接テクニックを学ぶというと「どんな言い回しをするか」「どんな順番で質問するか」といった、表面的なノウハウの習得に意識が向きがちです。

たとえば「逆質問はありますか、と最後に聞く」というテクニックがあります。

これ自体は多くの面接で実践されていますが、聞くだけで満足してしまい、応募者の質問に対して面接官自身が本音で、感情を込めて答えられているケースは意外に少ないものです。

形だけを真似ても、応募者の心には届きません。

辞退を防ぐために本当に必要なのは、話法の工夫ではなく、面接官が応募者に対してどれだけ本気で向き合い、自分自身をさらけ出しているかという姿勢そのものです。これは、質問リストを丸暗記しても身につきません。

「効率化」の視点が、逆効果になることもある

採用活動が忙しくなるほど、面接も「効率よく」進めたくなるものです。

決まったフォーマットで、決まった質問を、決まった時間内に終わらせる。日々の業務と兼務しながら採用担当をこなしている中小企業では、これは自然な発想です。

しかし、応募者からすると、決まりきった手順で淡々と進行される面接は、「自分という人間ではなく、フォーマットの一部として扱われている」という印象を与えかねません。

効率化を追求した結果、応募者の心が離れていく -これは、多くの中小企業で起きている、見えにくい落とし穴です。

効率と、応募者の心に届く面接は、必ずしも両立しないという前提を持っておく必要があります。

次に確認すべきこと

ここまでで、世の中の「面接テクニック」情報が、必ずしも中小企業の実情に合っていない理由が見えてきました。では、そうした情報の代わりに、実際にはどのような面接が「選ばれる」のか。

次回は、「選ばれる面接」とは具体的に何をしている面接のことなのか、その中身を掘り下げていきます。

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