ここからは第4章に入ります。第1章から第3章までで、「選ばれる面接」とは何か、なぜ辞退が減らないのか、辞退されない面接には何が起きているのかを見てきました。
第4章では、いよいよ実践編として、「選ばれる面接」をどう設計すればいいのかを掘り下げていきます。
「分かった」と「できる」の間にある壁
ここまでの内容を読んで、「言われてみれば、その通りだ」と感じた方は多いはずです。しかし、理解することと、実際に自社の面接で実践できることの間には、意外と大きな壁があります。
「感情を込めて自己紹介する」と言われても、具体的に何をどう話せばいいのか、迷ってしまう方も少なくありません。頭では理解していても、いざ面接の椅子に座ると、いつもの型通りの進行に戻ってしまう、という経験をした方もいるのではないでしょうか。
この章では、その壁を越えるために、これまで見てきた要素を、実際の面接の中でどう組み立てればいいのか、具体的な設計の手順として整理していきます。
「選ばれる面接」の設計は、4つのパーツからできている
これまでの章で見てきた内容を、実践の視点で整理すると、次の4つのパーツに分解できます。
- 一つ目は、面接官の自己紹介です。名前・役職・経歴・入社の経緯を、感情を込めて語れるように、あらかじめ言葉を用意しておくパーツです。
- 二つ目は、会社説明・募集背景です。求人票では書ききれない、社長や現場の言葉を、具体的なエピソードとともに伝えるパーツです。
- 三つ目は、応募者のビジョン・目標を引き出す質問です。準備された回答では出てこない、本音や価値観を引き出すための問いかけを設計するパーツです。
- 四つ目は、面接の締めくくりのクロージングトークです。応募者への期待の言葉を、その場の会話に応じて自然に伝えられるよう、心構えとして用意しておくパーツです。
なぜ「パーツ」として分けて考えるのか
これらを一気にまとめて「良い面接をしよう」と考えると、どこから手をつければいいのか分からず、結局は何も変わらないまま終わってしまいがちです。
パーツごとに分けて設計することで、一つひとつを着実に準備でき、実践のハードルも下がります。家を建てるときにいきなり全体を一気に組み上げようとせず、基礎、柱、屋根と順番に工程を分けるのと同じ発想です。
また、パーツごとに完成度を高めていくことで、面接官によって対応にばらつきが出にくくなる、という利点もあります。属人的な「センスの良い面接官」に頼るのではなく、誰が面接をしても一定水準を再現できる仕組みへと近づけていくことができます。複数の面接官がいる会社であれば、この再現性の高さが、そのまま採用の安定につながります。
まずは1つのパーツから、確実に仕上げる
4つのパーツをすべて一度に完璧にしようとする必要はありません。まずは一つのパーツ、たとえば自己紹介だけを丁寧に設計し、実際の面接で使ってみる。それがうまくいったら、次のパーツに取り組む。
この順序で進めることで、無理なく、着実に面接全体の質を底上げしていくことができます。一気に完璧を目指すよりも、一つずつ確実に積み上げていく方が、結果的に定着も早くなります。忙しい採用担当者であっても、一つのパーツであれば、次の面接までに準備を間に合わせやすいはずです。
次に確認すべきこと
次回から、この4つのパーツを一つずつ、具体的にどう組み立てればいいのかを見ていきます。まずは最初のパーツ、面接官の自己紹介をどう組み立てれば、感情がきちんと伝わるのかを掘り下げます。
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