前回、面接の「最後の印象」が、内定承諾率を大きく左右することを見てきました。
今回は、第3章の最後として、合格を出せない応募者、つまり不採用者に対しても、自社のファンに変えることの重要性を掘り下げます。
なぜ、不採用者にまで気を配る必要があるのか
面接では、合格させたい応募者に注意が向きがちで、不採用にする応募者への対応は、つい事務的になってしまいます。しかし、この不採用者への対応こそ、実は見落としてはいけない重要な場面です。
理由は大きく3つあります。
- 一つ目は、SNSや口コミサイトへの投稿リスクです。雑な扱いを受けたと感じた応募者が、不満をネット上に書き込むケースは珍しくありません。
- 二つ目は、その応募者自身が、将来の顧客や取引先になる可能性です。特にB to Cのビジネスであれば、この可能性は決して小さくありません。
- 三つ目は、応募者の周囲に、自社にマッチしそうな人材がいる可能性です。友人や知人への紹介、いわゆるリファラルの経路も、不採用者を通じて生まれることがあります。
「発散モード」になった応募者は、口コミしやすい
面接という緊張状態が終わり、会場を後にした応募者は、心理的に「発散モード」に入りやすくなります。友人や家族に、面接の感想を話す機会が自然に増えるということです。
この時、話される内容が良いものであれば、口コミとして自社にとってプラスに働きます。逆に、悪い印象のまま終わっていれば、マイナスの口コミとして広がるリスクがあります。地方や特定の業界であれば、こうした評判は同業者や取引先にも伝わりやすく、採用活動以外の場面にまで影響が及ぶことも考えられます。
どうせ話されるのであれば、良い口コミとして広まってもらう方が得策です。
これが、不採用者であってもファン化を意識すべき理由です。応募者数が限られる中小企業にとって、一人ひとりの応募者は、いわば地域における自社の評判を左右する「広報担当者」にもなり得る存在だと捉えておく必要があります。
不採用者への対応で、何を変えるべきか
具体的には、これまで見てきた「選ばれる面接」の要素、緊張をほぐす、面接官が自己開示する、応募者のビジョンに関心を向ける、最後に言葉を添える、といった姿勢は、合否にかかわらず一貫して行うべきものです。
面接の途中で「この人は不採用だろう」と感じた瞬間に、対応が事務的になってしまう会社は少なくありませんが、その変化は応募者にも伝わってしまいます。表情や相槌のわずかな変化からも、応募者は「もう見込みがないと思われている」ことを敏感に察知するものです。
不採用の連絡自体も、テンプレートの一斉送信で済ませるのではなく、可能な範囲で、その人らしい一言を添えることが望ましいでしょう。「今回はご縁がありませんでしたが、◯◯というお話が印象的でした」といった一文があるだけで、応募者が受け取る印象は大きく変わります。
この一手間が、次の応募や紹介につながる余地を残すことになります。手間としては数分程度のことでも、その積み重ねが、地域や業界内での評判として長期的に効いてきます。
実際、不採用にした応募者から、後日別の知人を紹介してもらえたという話も、決して珍しいものではありません。
第3章のまとめと、次章の予告
第3章では、辞退されない面接に共通して起きている4つの場面、緊張のほぐれ、面接官の自己開示、ビジョンへの関心、最後の期待の言葉、そして不採用者への配慮までを見てきました。
次の第4章では、これらの要素を実際にどう設計し、実践すればよいのかという具体的な方法に踏み込んでいきます。
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