前回、応募者のビジョンにフォーカスすることで、面接官と応募者の関係が「評価」から「応援」へと転換することを見てきました。
今回は、面接の終盤、つまり「最後の印象」が、なぜ内定承諾率を大きく左右するのかを掘り下げます。
人は、面接の「すべて」を記憶しているわけではない
面接が終わった後、応募者の記憶に残るのは、実は面接の一部始終ではありません。人の記憶には、「印象に残った場面」と「最後の場面」が、特に強く刻まれるという性質があります。
丁寧な会社説明も、的確な質問も、面接全体としては悪くない印象だったとしても、最後の締めくくり方が事務的であっさりしていると、応募者の記憶には「可もなく不可もない面接だった」という印象しか残りません。
デートの終わり方一つで、その日全体の思い出の質が変わってしまうのと、似た構造だと考えると分かりやすいかもしれません。
「最後」の使い方で、印象が大きく変わる
これは裏を返せば、面接の最後にどう締めくくるかによって、それまでの内容が多少物足りなくても、応募者の記憶に残る印象を大きく変えられる、ということでもあります。
多くの面接では、終盤は「これで面接は終わりです。結果は後日ご連絡します」という、事務連絡だけで終わってしまいます。これでは、面接という時間を共有した意味が、応募者の記憶にほとんど残りません。せっかく序盤・中盤で丁寧な対話ができていたとしても、最後の数十秒でその印象が薄れてしまうのは、非常にもったいないことです。
逆に言えば、序盤や中盤で多少ぎこちなさがあったとしても、最後の締めくくりを丁寧にすることで、面接全体の印象を挽回できる余地がある、ということでもあります。
最後に「期待の言葉」を添える
辞退されない面接では、事務連絡の前に、面接官から応募者への率直な期待の言葉が添えられています。「今日お話を伺って、あなたのビジョンが印象的でした」「うちの会社なら、そのビジョンを一緒に目指せる環境があると思います」といった言葉です。
ここで大切なのは、抽象的な褒め言葉ではなく、その面接の中で実際に語られた応募者自身の言葉やエピソードを引用しながら伝えることです。
「先ほどおっしゃっていた◯◯という考え方、とても共感しました」というように、具体性のある言葉であるほど、応募者には「きちんと自分の話を聞いてくれた」という実感が残ります。台本のような決まり文句ではなく、その場でしか出てこない言葉だからこそ、応募者の心に響きます。
期待を伝えつつ、誠実さも忘れない
一方で、まだ合否が決まっていない段階で、期待を伝えすぎて誤解を招くのは避けなければなりません。「合格です」と受け取られかねない断定的な言い方は避けつつ、「他の応募者との比較もあるので今の時点で合否はお伝えできませんが、しっかり高く評価させていただきます」といった形で、誠実にリスクヘッジをしながら伝える工夫が必要です。
熱意を伝えることと、誠実な情報開示を行うことは、両立できます。この両立ができている会社ほど、応募者からの信頼を得やすくなります。過度な期待だけを持たせて後で覆すよりも、正直な立場を示しながら熱意を伝える方が、結果的に応募者からの信頼は厚くなります。合否連絡の際にギャップが生まれにくく、その後の関係性にも悪影響を残しません。
次に確認すべきこと
次回は、この第3章の最後として、不採用者すら自社のファンに変える面接には、何があるのかを掘り下げていきます。
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