「できるだけ多くの人に応募してほしい」
多くの経営者はそう考え、求人票の間口を広く取ろうとします。しかし、応募が集まる求人票の中には、あえて「こういう人には向いていません」とはっきり書いている求人票が少なくありません。これを「お断り宣言」と呼んでいます。一見、応募を減らす行為に思えるこの書き方が、なぜ効果を発揮するのでしょうか。
間口を広げるほど、印象がぼやける
求人票の対象を広く取ろうとすると、表現はどうしても当たり障りのないものになっていきます。「誰にでも向いています」というメッセージは、裏を返せば「誰の心にも強く刺さらない」メッセージでもあります。
あらゆる人に配慮した結果、誰の記憶にも残らない求人票になってしまうのです。
お断り宣言が生む、逆説的な信頼感
「単調な作業をコツコツ続けるのが苦手な方には、正直不向きな仕事です」
こうした一文を見た求職者の反応は、実は2つに分かれます。「自分には合わないな」と感じて離れていく人と、「ここまで正直に書いているなら信用できる」と感じて、より強く興味を持つ人です。
前者は、そもそも入社してもミスマッチで早期に離れてしまう可能性が高い層です。後者は、その仕事の性質を理解した上で応募してくる、いわば”覚悟のある”層です。
お断り宣言は、応募の母数を減らす代わりに、応募してくる人の質を大きく引き上げる効果を持っています。母数が減ることを恐れるあまり、この一文を書けずにいる経営者は少なくありませんが、実際には「量より質」への転換点になっている場合がほとんどです。
お断り宣言の書き方のコツ
お断り宣言を書く際のポイントは、単に「〜な人はお断りします」と突き放すのではなく、「なぜそう言えるのか」という理由もセットで伝えることです。理由が伴うことで、単なる制限ではなく、経営者の誠実さとして受け取られやすくなります。
例えば、「単調な作業が苦手な方には不向きです」だけで終わらせず、「同じ工程を毎日繰り返す中で、少しずつ精度を上げていくことにやりがいを感じられる方でないと、この仕事は長く続けるのが難しいと思います」というように、なぜ向いていないのかという背景まで添えると、読み手は単なる線引きではなく、経営者が本気で長く働いてほしいと考えていることを感じ取ります。
この一手間が、お断り宣言を”冷たい文章”から”誠実な文章”に変える分かれ道になります。
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