応募が集まる求人票には、ほぼ例外なく、経営者本人の言葉が入っています。ここでいう「経営者の想い」とは、単なる会社の理念やスローガンのことではありません。もっと個人的で、具体的な言葉のことを指します。
「理念」と「想い」は似ているようで別物
多くの会社には、すでに経営理念やビジョンが存在します。しかし、これらは往々にして抽象的な言葉で書かれており、「地域に貢献する」「お客様第一主義」といった、どの会社にも当てはまりそうな表現になりがちです。こうした理念をそのまま求人票に載せても、求職者の心には残りません。
一方、ここで言う「経営者の想い」とは、その理念の裏側にある、もっと個人的な体験や感情のことです。「なぜこの事業を始めたのか」「創業当初、どんな苦労があったのか」「今、社員のどんな瞬間を見て嬉しいと感じるか」。こうした問いに答える中で出てくる、経営者本人にしか語れない言葉こそが、求人票に入れるべき「想い」です。
なぜ想いが伝わると、応募が変わるのか
求職者は、単に仕事内容や条件だけでなく、「この会社は、どんな人が、どんな考えで経営しているのか」を無意識に見ています。特に中小企業の場合、経営者と社員の距離が近いため、経営者の人柄や考え方が、そのまま職場の空気に直結します。
だからこそ、経営者の想いが伝わる求人票は、求職者にとって「入社後の人間関係」を予測するための重要な手がかりになるのです。
例えば、「先代から引き継いだ会社を、社員が誇れる会社にしたい」という一文があるだけで、求職者はその会社の経営者が何を大切にしているかを具体的にイメージできます。「地域に貢献する」というスローガンだけの求人票と比べて、読んだときに残る印象の重みがまったく違うのです。
想いを引き出す、簡単な問いかけ
もし今、自社の求人票に経営者の想いが入っていないと感じたら、次のような問いを自分自身に投げかけてみてください。
「なぜ、他の仕事ではなく、この事業を選んだのか」
「今の仕事の中で、一番やりがいを感じる瞬間はどんなときか」。
こうした問いへの答えを、飾らない言葉でそのまま書き出してみることが、想いを言語化する第一歩になります。
例えば、「一番やりがいを感じる瞬間は?」という問いに、「新人が半年後に一人で現場を任されるようになった姿を見たとき」と答えたとします。この一文をそのまま求人票に添えるだけで、求職者は「この会社は、成長を見守ってくれる場所なんだ」と感じ取ります。
難しい言葉で飾る必要はなく、経営者が本当に感じている瞬間を、そのままの言葉で書き出すことのほうが、はるかに強い効果を持ちます。
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