前回、「選ばれる面接」に切り替えることで、辞退率がどう変化していくのかを見てきました。
今回は、導入したにもかかわらず効果が出ない場合、何が間違っている可能性があるのかを掘り下げます。
「形だけ」真似てしまっているケース
もっとも多い失敗は、これまで見てきた4つのパーツ、自己紹介・会社説明・ビジョン確認・クロージングを、内容を伴わないまま「形だけ」取り入れてしまうケースです。
たとえば、自己紹介で経歴を語ってはいるものの、感情が乗っていない棒読みのままだったり、ビジョンを聞く質問はしているものの、応募者の回答を深掘りせずに次の質問に移ってしまったりする状態です。
これでは、以前の「尋問のような面接」と、本質的には変わりません。パーツを取り入れることと、パーツに魂を込めることは、まったく別の作業だと考える必要があります。表面的な言葉だけをなぞっても、応募者はその薄さを敏感に感じ取ります。
一つのパーツだけに偏っているケース
もう一つよくあるのが、4つのパーツのうち、得意な一つだけに力を入れすぎてしまうケースです。たとえば、面接官の自己紹介は上手にできるようになったものの、会社説明が相変わらず求人票の棒読みのままだったり、ビジョンを聞くことはできても、締めくくりのクロージングトークが事務的なままだったりする状態です。
以前お伝えした通り、これら4つの要素は掛け算の関係にあります。どれか一つが突出していても、他が抜け落ちていれば、面接全体としての印象は中途半端なままになってしまいます。むしろ、一部だけが取り繕われている印象が、応募者に違和感として伝わってしまうこともあります。
面接官によって、実践度合いにばらつきがあるケース
複数の面接官がいる会社では、一人だけが選ばれる面接を実践し、他の面接官が従来のやり方のままというケースもよく見られます。この場合、応募者がどの面接官に当たるかによって、体験の質が大きく変わってしまい、会社全体としての効果が見えにくくなります。
面接官全員で認識をそろえ、少なくとも基本の3点、丁寧な自己紹介、深掘りの質問、締めくくりの感謝の言葉だけは、全員が実践できる状態を目指すことが大切です。全員が完璧を目指す必要はなく、最低限の底上げから始めるのが現実的です。定期的に面接官同士で振り返りの機会を設けることも、ばらつきを減らす助けになります。
そもそも母数が少なく、変化が見えにくいケース
中小企業の場合、そもそも月に数件しか面接がないことも珍しくありません。この場合、選ばれる面接を実践し始めてすぐは、辞退率という数字の変化として実感しづらいことがあります。
これは効果が出ていないのではなく、単純に統計上のサンプル数が少ないために、変化が見えにくいだけというケースも少なくありません。数字だけに一喜一憂せず、半年、一年という単位で振り返る視点を持っておくことが大切です。
効果が出ないときこそ、原点に戻る
もし効果が実感できない場合は、4つのパーツのうち、どこが形だけになっていないか、どこかに偏りがないかを、一つずつ振り返ってみることをお勧めします。焦って新しいテクニックを追加するよりも、今あるパーツの完成度を高める方が、多くの場合、着実な改善につながります。第4章で紹介した客観チェックの方法を、定期的に繰り返してみることも有効です。
次に確認すべきこと
次回は、選ばれる面接で入社した人材の、定着率がどう変わるのかを掘り下げていきます。
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